ファッションロス問題にメタバースが一役買う未来?

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ファッションロス問題にメタバースが一役買う未来?

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published : 2022/6/28

フードロス問題以上に深刻と言われているファッションロス問題をご紹介します。欧州では大量生産・大量廃棄を抑止する法整備も進んでいます。消費の代替行動の一つとして注目されている、あるものとは?


ファッションロス問題にメタバースが一役買う未来?

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こんにちは、work and placeです。

SDGsやサステナビリティといった言葉がメジャーになって随分経ちます。その中で世界的に長らく問題となっている事の一つにファッションロスの問題があります。フードロス以上に深刻な問題と捉える学者も多いです。

日本では毎年約15億着もの衣服が売れ残っています。そしてその多くが新品のまま、埋め立てや焼却によって廃棄処分になっています。年間約48万トン、一日あたりトラック132台分もの衣類が廃棄処分になっている計算です。ファッション産業は、製造にかかるエネルギー量や衣服のライフサイクルの短さなどから、環境負荷が非常に大きい産業と国際的に指摘されているためです。

世界では問題解決に動き出している国もあります。例えばフランスにおいては今年非常に画期的な法律が施行されました。企業が売れ残った新品の衣服を廃棄する事を禁止したもので、これは世界初です。売れ残った衣類に関しては、リサイクルや寄付を推奨しており、違反すれば罰金が科せられます。また、ブランドイメージも大きく損なう事となります。

特に環境問題に敏感な欧州においては他の国も追随する動きが見られます。日本にとっても他人事ではありません。先日もご紹介したアップサイクルの意識も大切ですが、そもそも大量生産という仕組みそのものを変えないと難しいかもしれません。

日本では一人が1年間に購入する服が平均18着、廃棄など手放す服が平均12着、着用されない服が平均25着と言われています。手放すより新たに購入する着数の方が多い計算になります。ファッションのサイクルがより短くなっていますし、ファストファッションをはじめとする低価格化によってより大量生産・大量消費に拍車がかかり、結果として廃棄量も増えています。

服を手放す手段として、リサイクルに出したり、フリマサイト等で販売するケースは増えていますが、現実問題として手放す衣類の68%が家庭ごみとして廃棄されています。また、リサイクルに出した場合であっても実際に何かに生まれ変わっているケースはごくわずかです。一例として、ポリエステル100%の衣類であれば、そこからポリエステルを再抽出してポリエステルを作る方法があります。しかし、残念ながら家庭ごみとして廃棄されたものはこのリサイクルに回る事はありませんし、あくまでごく一部の活用例となっています。アップサイクルに回っているのもごくわずかであり、リサイクル・リユースとは名ばかりで、ほとんどが発展途上国に送られているのが現状です。

発展途上国に送られた衣類も結局は60%程度がそのまま廃棄処分になっているそうです。それも違法な廃棄が多く問題になっています。山積みになった衣類が発展途上国の環境問題にも繋がっています。廃棄された衣類の多くには石油を原料とする化学繊維が使われています。その為、廃棄物は分解される事なく埋もれ、土壌汚染の原因となっています。更に、火災によって大量の有毒ガスが発生する事態もたびたび起きているんだそうです。先進国を中心とした大量生産・大量廃棄のツケが発展途上国にまわるのは本当に理不尽な事だと思います。

これまで当たり前の様に大量生産・大量消費・大量廃棄をしていたファッション業界は大きな変革を迫られています。欧州を中心とした意識改革や法整備による改善を期待したいですが、残念ながら一朝一夕には難しいところです。


ここにきて、ファッションの未来形として注目されているのが、メタバースの世界です。新しい服を着たい、色々なファッションを楽しみたいという願望をメタバース上で叶えようというものです。なるほど、それならファッションロスには繋がりませんね!

実際に沢山の洋服を着てファッションを楽しんでいた感覚を、メタバースにそのままスライドできるのかどうかについてはまだわかりません。ですが、ただ服を減らす、買わないという行動だけでは消費者の不満も溜まるかもしれません。代替行動の一つとして、一つの選択肢にはなり得るかもしれませんね。

コロナ禍において人気が高まった「あつまれどうぶつの森」など多くのオンラインゲームにおいて、実際にゲーム内アイテム等への課金が多く行われている事を考えれば、ファッションをメタバース上で楽しむという未来も現実味があるかもしれませんね。

即効性がある方法ではないかもしれませんが、限りある資源や環境問題の解決に少しでも役立つ事を期待したいですね。それでは、また。

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