義肢にも多様性の時代。最新テクノロジーと伝統工芸の融合とは?
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published : 2021/8/29

東京2020パラリンピックが開幕しました!アスリート達の活躍を支える義肢も日々進化しています。従来のコンセプトとは異なるオルタナティブ・リム・プロジェクトをご紹介します。
義肢にも多様性の時代。最新テクノロジーと伝統工芸の融合とは?
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こんにちは、work and placeです。
2021年8月24日、東京2020パラリンピックが開幕しました。コロナ禍においての開催に対し賛否の声は根強いですし、先日閉幕した東京2020オリンピックと同様、無観客を基本としています。それでも史上最多人数のパラアスリートが参加予定であり、既に素晴らしいパフォーマンスの数々が繰り広げられていますね。
パラリンピックの父とされるルートヴィヒ・グットマン博士の「失ったものを数えるな、残されたものを最大限に生かせ。」という有名な言葉があります。この言葉を体現しているのが、パラアスリート達の姿だと思います。とても身体にハンディキャップがあるとは思えない程の高い技術や身体能力は、想像を絶する鍛錬や努力・工夫によって実現しています。人はつい失ったものに目が行ってしまいます。失ったものを数えるのではなく、残されたものを最大限に生かす事は、パラアスリートに限った事ではなく全ての人にとって必要な事だと思います。
さて、そのパラアスリート達の活躍を支えているものの中に義肢があります。この分野の進化は素晴しいものがあり、機能性・安全性に加えて見た目も自然なものが沢山あります。現在はデザイン性の高い義肢も生まれています。
今回は「THE ALTERNATIVE LIMB PROJECT(オルタナティブ リム プロジェクト)」をご紹介したいと思います。人口義肢デザイナーのソフィー・デ・オリベイラ・バラタ氏が設立しました。2012年に開催されたロンドンパラリンピックの開会式において、ヴィクトリア・モデスタさんが着用したクリスタルの義足をご存知ですか?スワロフスキーをあしらった美しい義足で雪の女王を演じました。その美しい姿に向けられたのは決して憐憫の目ではなく、称賛の眼差しでした。
ヴィクトリア・モデスタさんは当初、より自然に見えるタイプの義足を使用していましたが、その後義足をファッションアイテムやアートとして着用する事を思いつきました。それを実行に移した時、明らかに周りの目が変わったといいます。
「THE ALTERNATIVE LIMB PROJECT(オルタナティブ リム プロジェクト)」では、義手や義足を人体に近づけるのではなく、着用者の個性やスタイルに合わせ開発する事をコンセプトにしています。最新のテクノロジーと伝統工芸を組み合わせたデザイン性の高い義肢です。義足や義手が、人体の再現でないといけない理由はありません。これも美の多様性と言えるでしょう。
勿論、より人体に近いフォルムが理想という人もいるでしょう。見た目よりも機能性が最優先という人も。特にパラアスリートに関しては、取り組むスポーツによって必要な機能が異なるかもしれません。そして自分らしさや個性を前面に出す事や、ファッション性を追求したい人もいます。どれも正解ですし、その人なりの正解があるべきです。義肢は医療器具としての印象が強いですし、機能性や安全性の担保は大前提かもしれません。その上で先入観や思い込みを捨て、新しい可能性に挑戦する事は素晴らしいと思います。
新しいスタイルの義肢の存在は、身体的な違いを特別視するのではなく、多様な在り方を当たり前として受け入れる社会実現にも一役買ってくれるかもしれません。
東京2020パラリンピックは9月5日に閉幕します。アスリート達の素晴らしいプレイの数々と共に、義肢テクノロジーの進化にも注目してみたいと思います。それでは、また。
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