鮮度の概念が変わる?!ハイブリッドアイスがフードロス問題を斬る!
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published : 2022/2/27

安心安全低コストのものすごい技術で生まれた『ハイブリッドアイス』をご紹介します。原材料はまさかのアレとアレ。冷凍技術が世界を救うかもしれません。
鮮度の概念が変わる?!ハイブリッドアイスがフードロス問題を斬る!
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こんにちは、work and placeです。
今日は今話題の『ハイブリッドアイス』についてご紹介したいと思います。ハイブリッドアイスとは、簡単に言うと瞬間凍結された高濃度の塩水です。そのハイブリッドアイスを使用すると、通常の冷凍技術の約20倍以上の速さで急速冷凍する事が可能なんだそうです。
凍った塩水と聞くと拍子抜けしてしまうかもしれません。しかし実はこれはとても画期的な技術なんです!そもそも高濃度の塩水は不凍液、つまり凍らない液体と言われてきました。ブランテックインターナショナル株式会社は独自の技術によって、その凍らないと言われてきた高濃度の塩水を瞬間的に凍結させる事に成功し特許を取得したのです。
これは本当にすごい事です。劇的な急速冷凍が可能になる事で食材の鮮度を落とす事なく、長期保存が可能になります。実際の映像を見ましたが、釣ったばかりの魚をハイブリッドアイスに入れると、数十秒でカチコチに固まっていました。細胞を壊す事なく冷凍できるので、風味を保つ事ができます。
特筆すべきは安全性の高さと、低コストであるという点です。まず、ハイブリッドアイスの製造に必要なのは塩と水と電気のみです。特殊な薬剤や化学物質を使用する訳ではありませんので、人体にも無害で食品にも安心して使用する事ができます。しかも従来の冷凍技術に比べ、製造コストも格安です。
水産品を急激に冷凍・冷蔵する事で、鮮度や品質を損なう事なく保存、更に輸送も可能となります。この事は生産者だけではなく、流通業者にとっても大きなメリットだと言えるでしょう。そして新鮮なままで食卓に届く事を考えれば、消費者にとってもこんな嬉しい事はありませんね。
安心・安全が低コストで賄える事、更に美味しさもキープできる素晴らしい技術です。しかもハイブリッドアイスの冷凍技術は水産品だけではなく、食肉や乳製品・医薬品にまで活用できるんだそうです。汎用性が非常に高いのも特徴です。
ハイブリッドアイスの需要は日本国内に留まらず、海外からのオファーも多いそうです。特に東南アジア等の高温多湿な地域では、鮮度を保つ事が非常に困難です。ハイブリッドアイスであれば低コストでの導入が可能ですし、生鮮食品の保存・輸送の環境が劇的に変化する事は間違いありません。鮮度維持が困難であったが為に生まれていた大量のフードロスを減らす事ができるかもしれませんね。
ハイブリッドアイス用の冷凍コンテナは電気が不要で、マイナス18度以下を約3日間キープする事ができます。これは生鮮品輸送の常識自体が変わりそうです。しかも溶けた氷の再利用も可能です。環境に優しく、脱炭素社会の実現やSDGsの 観点からも世界に広がって欲しい素晴らしい技術ですね。
ハイブリッドアイスに限らず、冷凍技術の進化は目覚ましいです。家庭用冷蔵庫であっても今までの業務用冷凍庫と同等の急速冷凍を可能にしていたり、AI搭載モデルや生鮮食品の熟成期を長期化させるものまで存在します。
冷凍技術の進化によって、冷凍食品のイメージも大きく変化してきました。昔は手抜きの象徴の様に言われたり、味よりも便利さのみが評価されていたと思います。現在の冷凍食品は随分イメージが変わり、美味しさもかなり上がっています。忙しい主婦の味方と言うだけではなく、便利で美味しいから敢えて冷凍食品を選択するケースも少なくありません。最近ですと、大手の百貨店で高級冷凍食品の取扱いが始まっています。5000円を超えるような高額なものであっても、売れ行きがとても好調なんだそうです。冷凍技術の進化はビジネスとしてもまだまだ伸びしろがありそうです。
ハイブリッドアイスや他の冷凍技術の進化によって冷凍・解凍しても鮮度が落ちず、生食と遜色ない美味しさを保つ事が実現されつつあります。私達の考える『鮮度』という概念そのものが変化してきているのかもしれませんね。
冷凍技術が進化する事によるメリットは、冷凍食品を美味しく食べられる事だけではありません。世界的な問題となっている、フードロスの解決の一助になる大きな可能性を秘めています。
日本人の文化とも言える『もったいない』という精神。食べ物やそれ以外のものも大切にする素晴らしい考え方だと思います。しかし現代社会において、もったいない精神だけでフードロスを解決するのは残念ながら難しいと思います。それでも今回ご紹介したハイブリッドアイスの様な画期的な技術革新や、社会の仕組みを変えていく事でフードロスを減らす事は可能だと思います。もったいないという一人一人の気持ちは大切にしつつ、社会全体として問題解決に向き合っていきたいですね。
生鮮食品を適切で安全に長期保存可能にする事は、フードロスだけではなく地球規模の課題となっている食糧不足の解決の糸口にもなるかもしれません。今後も技術の発展と仕組みの改善に期待したいと思います。それでは、また。
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