再生可能エネルギーの切り札?海洋国の強みを考える。

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再生可能エネルギーの切り札?海洋国の強みを考える。

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published : 2022/6/1

もうすぐ世界環境デーです。SDGsへの取り組みは様々ですが、セロカーボンシティを目指し独自の取り組みを続ける五島市をご紹介します。話題の浮体式洋上風力発電とは?


再生可能エネルギーの切り札?海洋国の強みを考える。

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こんにちは、work and placeです。来る6月5日は国連で定められた「世界環境デー」です。この事から6月は環境保全活動を推進する「環境月間」とされているそうです。2015年の国連サミットで採択された、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)という言葉が広く知られる様になって随分経ちました。買い物にマイバッグを持参する、電気自動車に買い替えるなど個人でもできる小さな取り組みだけではなく、国や地方自治体・企業等による大掛かりな取り組みにも期待が集まっています。

先日、東京都の小池百合子都知事が打ち出した、新築一戸建て住宅への太陽光パネル設置を義務付ける条例制定に向けての動きが話題になりました。賛否両論あるようですが、個人の意識だけでは実現が難しい事も、仕組み自体を変えていく事で大きく動き出せるかもしれません。

さて、大変理想的ではありながら中々日本では積極的な実用化ができていない再生可能エネルギーですが、積極的に取り入れて活用をしている五島市についてご紹介したいと思います。

長崎県の西部、五島列島の南西部に位置する五島市は市を挙げての取り組みを行っています。『五島市をゼロカーボンシティへ!』という大きな目標を掲げ、官民足並みを揃えて活動をしています。

日本国内どこにでもある過疎化の問題に対し、人を呼ぶ為の観光地化という施策は多いですが、五島市はその選択を取りませんでした。観光開発をする事なく、今の島の形や自然をそのままの形で未来に残す事を選んだのです。未来の子供達の為に、地球温暖化の防止・自然環境の保全・フードロス問題改善などについて積極的に取り組んでいます。

その取り組みの中でも注目を集めているのが浮体式洋上風力発電です。日本は排他的経済水域の面積が世界第6位の海洋国です。洋上は比較的風速が強く、変動が少ないと言われています。そこで安定的且つ、効率の良い発電が見込めると考えられました。従来の着床式は浅い海底に基礎を固定するタイプで、現在実用されているのは基本このタイプです。

ですが、より効率的な発電ができると言われている沖合であれば、浮体式が良いと考えられています。しかし、現在浮体式洋上風力発電は世界的に見ても実証段階なんだそうです。浮体式風力発電のメリットは、地震や津波の影響をほぼ受けないと言う点です。また沖合であれば、稼働時の騒音問題や景観を損ねるという事もありません。しかも通常の風力発電の2.4倍の発電量を期待できるそうです。

現在は日本に1台のみですが、沖合に8台増やす計画があるんだそうです。この計画の素晴らしいところは、地元の漁師さん達の協力を得られたと言う事です。浮体式とは言え海への設置に難色を示す可能性も考えられました。しかし、漁師さん達も環境変化、とりわけ海の変化を実感し危機感を持っていました。再生可能エネルギーを推進する事、環境を守る事は漁師さん達にとっても大切な事だったのです。

官民一体となった環境への活動は素晴らしいです。五島市の更にすごいところは、単に環境を保全するだけではなくそれらの活動をビジネスモデルに組み込んでいる点です。既に再生エネルギーだらけの五島市は、現在は潮流発電の商業化実証実験も行っています。島内の必要電力を再生可能エネルギーで賄うだけではありません。いずれはクリーンエネルギーを島外に販売する事を目標としています。

理想論を語るだけではなく、地元の活性化や経済活動も視野に入れた五島市のロードマップは他の自治体も注目していますし、学ぶべき点が多いと思います。

四季があり、南北に細長い事で地域ごとの気候差が大きい上に、地震大国である日本。再生可能エネルギーの活用に理想的な国土とは必ずしも言えない環境でしたが、海洋国である事を活用できれば状況は大きく変わるかもしれませんね。浮体式洋上風力発電や、潮流発電等が日本のクリーンエネルギ―の切り札になっていく事を期待したいです。それでは、また。

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