コスパよりタイパ?!効率化最優先の先にあるものとは?

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コスパよりタイパ?!効率化最優先の先にあるものとは?

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published : 2023/7/20

ファスト映画にタイパ飯、時短とZ世代を中心に「タイパ」礼賛の時代になっています。タイムパフォーマンスを重視した消費行動について考えてみたいと思います。


コスパよりタイパ?!効率化最優先の先にあるものとは?

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こんにちは、work and placeです。近畿地方に梅雨明け宣言が出ました。いよいよ夏到来ですね。そろそろ夏休みが始まる学校も多いと思います。今年の夏はどんな過ごし方をされますか?

さて、多くの人気You Tuberを抱える 事務所「UUUM」が過去最大の赤字決算を発表した事が話題になっていました。背景の1つに長らく重視されていた「再生回数」という概念の終焉があります。再生数よりもエンゲージメントが重要しされるようになってきた事が大きいと言われています。そしてもう1つが「タイパ」の時代が到来しているという事です。時間を少しも無駄にしたくないという「タイパ(タイムパフォーマンス)」の概念が動画市場にも大きく影響していると言うのです。

Z世代を主軸として全体的なトレンドがタイパの良いショート動画に移行しています。TikTokを中心に、数秒から長くても5分の動画が人気で、最初の2秒で全てが決まるとすら言われています。その流れで、10分を超えるような対談系の動画の人気が急速に落ちたそうです。

昨今、ITテクノロジーの急激な進化やデジタルツールの充実によって「タイパ(タイムパフォーマンス)」という概念に注目が集まり始めました。Z世代の消費行動の根幹に「タイパ」という考えが大きく関わっています。

例えば2020年頃に急激に増えた「ファスト映画」もタイパ重視のコンテンツの1つだと言えます。ただし、これらは映画の映像を無断で使用した上でストーリーのネタバレも行う明確な違法動画です。字幕やナレーションを勝手に付け、動画配信サイト等にアップロードする人が多く現れ、且つ多くの人が視聴しました。これは当然著作権法に違反するものであり、2021年以降は逮捕者が出ていますし、損害賠償を命じる判決も出ています。引用の範疇を逸脱するものであり、著作権やその他の権利侵害はあってはならない事ですが、それを多く消費する視聴者がいた事もまた事実です。

違法性の無いものであっても、映画やドラマを倍速で視聴したり、音楽の気に入った部分だけを聞くなどタイパを意識した行動はZ世代を中心に広がっています。例えば動画等をchatGPTのLinkReaderを活用して要約を見たり、ネタバレ情報を見てからそのコンテンツを視聴したりする傾向が増えているのです。動画に限らず、あらゆるものに「タイパ」や「時短」が謳われていて、可処分時間を重視する傾向がどんどん強くなっています。

ここ10年近く重要視されていたコスパ(コストパフォーマンス)=費用対効果よりもタイパ(タイムパフォーマンス)=時間対効果が優先されるようになりました。まさに「時は金なり」という事なのかもしれません。 


今話題の、書籍の要約を10分で読める「flier(フライヤー)」はまさに「タイパ」重視の存在だと言えます。現状3000冊以上の「今読むべき本」の要約を提供しています。要約に関しては出版社や著者の許諾を得たものであり、書評ではなくあくまで内容に忠実な要約です。AI音声による読み上げ機能もあり、ながら聴きする事ができるのも人気なんだとか。新幹線車内でもサービス提供されていて、忙しいビジネスマンに人気だそうです。

ここで興味深いのが、要約が肝心の本の売り上げの足を引っ張っていないと言う点です。寧ろ、要約を読んだ後、本の購入サイトにアクセスする傾向が高くなっているそうです。出版社や著者側に費用負担が無い事で、結果として広告としてのコスパの良さも兼ね備えていますね。


そして少し意外なのが冠婚葬祭についてもタイパ重視の流れが増えているんだそうです。何と、「タイパ婚」という言葉まで生まれています。従来の結婚式では、式場の予約や打ち合わせ等、最低でも半年以上前には動きだすのが当たり前となっていました。ところがタイパ婚においては、SNS等を使い自分達で事前調査をしたり比較検討をし、少ない準備期間で自分達なりの結婚式を行うのが人気なんだそうです。式当日ですらタイパ重視で、理想的なSNS投稿を前提とした内容で且つ「人の時間も無駄に奪わない。」事を意識するんだそうです。人生における大きなセレモニーの1つですら「タイパ」が重視される時代となりました。そしてこれまたある意味人生の方向性を決める要素の1つである就職活動においてもタイパを求める「タイパ就活」なんて言葉もあるそうで、タイパ最優先のトレンドはしばらく続きそうですね。

タイパを良くする事自体は決して悪い事では無いと思いますが、タイパを良くする事はあくまで手段の1つであって目的になってしまう人も多い気がします。特に日本文化は古来より余白や無駄を否定しない良さがあるように思います。タイパを意識し過ぎて結果として時間に追っかけまわされるのは本末転倒な気がします。「急がばまわれ」なんて諺もあります。

タイパを意識する事で時間にも気持ちにも余裕が生まれて、結果として豊かに時間を過ごせるのであればそれは素晴らしい事だと思います。究極の効率化の先に何を得られるのか、そこが一番大切なのかもしれませんね。それでは、また。

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