コスプレの範疇を超えた?!「鬼滅の刃」の色彩美

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コスプレの範疇を超えた?!「鬼滅の刃」の色彩美

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published : 2020/11/10

空前の大ヒットとなり記録を更新し続けている、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」。ヒットの秘密を色彩美から考察してみました。


コスプレの範疇を超えた?!「鬼滅の刃」の色彩美

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こんにちは、work and placeです。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が空前のブームを巻き起こしていますね。興行収入が公開10日間で100億円を突破で話題になったかと思えば、11月8日には早くも200億円超え!歴代興行収入ランキング(邦画と洋画を含む)でも5位にランクインしたそうです。(11月9日時点)海外でも次々と公開され、台湾では公開3日でアニメ映画歴代一位の初動興行収入を記録するなど、あらゆる記録を塗り替えています。

深夜枠でのアニメ放送終了後から爆発的に人気に火が付き、アニメからのファンが漫画に逆流入したという異色の作品です。先日の衆院予算員会において総理大臣や国会議員が劇中の台詞を引用した事も話題になりました。更に「キメハラ(鬼滅ハラスメントの略)」という造語まで生まれています。(「まだ観てないの?」などと強引に勧めたりする行為だそうです。)あまりのヒットぶりとファンの熱量に、ある種の同調圧力を感じる人もいるようです。これもまた社会現象と言えますね。

「競争社会の大人にも刺さる!」「日本の家族を体現しているのでは?」「ジェンダーレスの象徴である。」「単なる鬼退治と思ったら大間違い!」「コロナ禍だからこそのヒットでは?」など色々な批評がありますが、私は色彩の観点で勝手に分析してみたいと思います。


「鬼滅の刃」のヒットはストーリーの面白さやキャラクターの魅力は当然の事ながら、映像の美しさも重要なポイントだと思います。ハマるきっかけの一つが映像美だった人も少なくないのでは?日本のアニメーションの質の高さを改めて証明してみせた作品だと言えます。その映像美の中でも特筆すべきは色彩の鮮やかさだと思います。それは雪の白や鮮血の紅だけではなく、キャラクター達の服装や髪の色など多岐に渡ります。そしてそれは鑑賞して楽しむだけに止まらず、ファッションや雑貨等にも大きな影響を与えています。

先日のハロウィンでは子供も大人もこぞって鬼滅キャラに扮し、主要キャラだけではなく、敵であるはずの鬼に扮する人も多かったとか。日本にはコスプレ文化というものが確かに存在していますが、「鬼滅の刃」に関しては所謂コスプレの範疇を超えていると思います。

その一つが「鬼滅カラー」と呼ばれるヘアカラーです。髪色を「鬼滅の刃」のキャラクターをイメージした色に染める事が一部のコアなファンだけではなく、広く流行しています。「鬼滅カラー」が正式なメニューとして存在しているヘアサロンも沢山あるようです。ちなみに私の自宅近くのコンビニ店員さんも、ある日突然赤いインナーカラーを入れていました。どうやら「鬼滅の刃」の主人公推しのようです。ファッションとしてのインナーカラー流行と相まって、今までだと一部の「オタク」と呼ばれる人達がイベント時のみ行っていたようなコスプレ感覚ではなく、日常のファッションとして取り入れられているのは注目すべき事です。

ヘアサロンのポータルサイトで「鬼滅カラー」を検索してみたところ大阪梅田エリアで38件、神戸三宮エリアでは20件ヒットしました。

気になる方はお住まいのエリアでも検索してみてくださいね。

日本では古くは聖徳太子の制定した冠位十二階において、位の高さを色で表していました。昭和の戦隊物のヒーローは赤、ヒロインはピンクと相場が決まっていました。現代においては、色設定がジェンダーレスになってきてはいるものの、男女問わず人気アイドルにそれぞれ担当カラーがあったりします。「色」は何かを象徴するものであり、無意識化においても印象を左右する要素です。二次元であっても三次元であっても「推しのテーマカラー」というものは特別なようです。

以前「アナと雪の女王」が大ヒットした際もエルサカラーと言われるブルーを好んだり、エルサの髪型を真似たがる子供達が多かった記憶があります。ただし、大人も子供も関係なく、しかも日常のファッションに積極的に取り入れられているとなると、やはり「鬼滅の刃」の色彩美は特別なのかもしれませんね。

作品の時代背景が大正時代というのもポイントの一つかもしれません。「大正ロマン」などと言うように、当時のファッションや文化には根強い人気があります。作者の吾峠 呼世晴(ごとうげ よはる)先生は女性であるという説もあるのですが(正式には未公表)女性ならではのセンスがそこに生きているのかもしれません。


以上、色彩の面から私なりに分析してみましたが、実際に映画をご覧になった方達のレビューもご参考までに紹介しておきますね。

-あらゆる要素が高いレベルであわさり、キャラが立ちまくった王道のジャンプアニメでありつつも、単独のエンタメ作品として1本筋のとおった、非常に見応えのある映画になっていると感じました。

-オチ知ってても結局泣くし買わないって言ったのにパンフも買って帰りました。

-アクションのクライマックスと感情のクライマックスの頂点を同時に発生させられる作品ってなかなか無いような気がするんですが、これはそんな感じでした。「まだ観てないの?」が、問題になっているらしいですが、「俺はもう観たけどまた一緒に行こう!」が可能な映画だと思います。

(映画.comからの抜粋)


「鬼滅の刃」シリーズ自体が初見で何の前情報無しでも充分楽しめる映画との噂ですが、ある程度予習しておくとより楽しめるようです。スピード感がある作品なのでテレビアニメ版や漫画での予習もそれほど苦ではないかもしれません。漫画で既にあらすじを知っている人でも満足度が非常に高いようです。2回3回と、リピート鑑賞している人の多さからもそれは窺えますね。

現在はコロナ禍による実写撮影の難しさで劇場公開が延期になっている作品が多い事もあり、「鬼滅の刃」を複数スクリーンで同時上映している映画館も多いようです。どうやら「密」を心配せずに鑑賞できそうですね。海外ではコロナ禍の影響でまだまだ映画館の規制が厳しいところも多いですが、日本では比較的安心して映画鑑賞できる環境が提供されているのは嬉しい事です。

動画配信などで映像作品を楽しむ選択肢は増えていますが、やはり映画館の大スクリーンで観る映画の特別感は大切にしたいですね。私も書いている内に映画館に足を運びたくなりました。またお勧め映画があればご紹介していきたいと思います。それでは、また!

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