配車アプリ普及がカギに?「ライドシェア」解禁の可能性を探る

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配車アプリ普及がカギに?「ライドシェア」解禁の可能性を探る

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published : 2023/9/28

慢性的なタクシー不足を打開するべく「ライドシェア」解禁への議論が再燃しています。「ライドシェア」にまつわる色々をご紹介したいと思います。


配車アプリ普及がカギに?「ライドシェア」解禁の可能性を探る

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こんにちは、work and placeです。

解禁に向けての議論が活発化している「ライドシェア」についてご紹介したいと思います。

実はライドシェア解禁についての議論は今回が最初ではありません。これまで何度か話題になっていたものの、タクシー会社等の反発もあり、結局立ち消えとなっていました。

そもそも「ライドシェア」とは、一般人が自家用車を使用し目的地まで運んでくれる有償サービスの事です。フードデリバリープラットフォームとして日本でもすっかり馴染みとなっているUBER Eatsを手掛ける米国のウーバー・テクノロジーズや中国の滴滴出行(ディディ)などが有名です。スマートフォンの専用アプリを使用する事が基本で、出発地・目的地を入力すると車が到着して目的地まで送ってくれる形です。支払はキャッシュレス決済で行われ、ほとんどの場合タクシーよりも安価となっています。

とはいえ、日本においては道路交通法で「白タク」行為は禁止されています。(白タク=第2種運転免許を持たずに有償で客を乗せる行為のこと。ただし、過疎地等では例外的に認められている場合もあります。)ライドシェア解禁への機運が高まった事はあったものの、その度にタクシー業界や労働組合の強い反対もあり、監督官庁の国土交通省もあまり積極的な姿勢は見せていませんでした。業界団体の反対だけではなく、素人ドライバーに運転を任せる事への不安や、他人の車に乗る事への抵抗感等から、利用者サイドの反対も少なくはありません。

それでも解禁への議論が活発化している理由としては何と言っても訪日外国人の増加、タクシー業界の深刻な人手不足が影響していると言われています。タクシー運転手の数はここ約10年程で3割以上減少したそうです。駅や観光地においてタクシー乗り場で中々来ないタクシーを待つ行列を見かける事も多いですね。それにはタクシー配車アプリの存在も大きいと言われています。タクシー運転手側もある程度の利用距離が予めわかる配車アプリを利用する方が効率が良いと考えるようで、タクシー乗り場を拠点にせず、街を流し運転しながら配車アプリでの依頼を待つ事を優先するそうです。そういえば、駅のタクシー乗り場に次々とタクシーが入ってくる光景はあまり見られなくなっている印象です。そして観光地においてもタクシー不足は深刻な問題となっています。


タクシー不足ではあるものの、それは車自体の不足ではなくドライバー不足が原因となっています。現役タクシードライバーの高齢化、そして高齢者ドライバーへの運転免許証返納推奨の動きは間違いなく影響しているでしょう。高齢ドライバーの重大事故を防ぐ為に返納を推奨したいが、ドライバー不足を補う為、結局高齢ドライバーに頼らざるを得ない現実があります。それを打開する為の手段の一つとして「ライドシェア」導入に注目が集まっているのです。

ただ、今まで「ライドシェア」解禁が実現しなかった理由はタクシー会社や業界団体の反対だけが理由ではありません。「知らない一般人の車」に乗る事への抵抗感を覚える感覚が根強い事も大きな理由の一つです。「ライドシェア」を導入したとしても、実際に利用する人がどれだけいるのかという疑念が強くありました。しかし、ここ数年のタクシー配車アプリの普及が「ライドシェア」導入の追い風となると考える人も少なくありません。スマホアプリを介したタクシー手配やキャッシュレス決済が当たり前になってきた事で、「ライドシェア」への抵抗感が多少薄れているのかもしれませんね。 


つい先日、神奈川県は時間帯や地域等限定的ではありますが、タクシー会社が一般ドライバーの運行を管理するという「神奈川版ライドシェア」の構想が打ち出され話題となっています。ドライバーを登録制とし、タクシー会社が運行管理を行うというものです。国との話し合いはこれからだそうで、実現するかどうかはまだ不透明ではありますが、タクシー不足解消の一つの方法として検討してみる価値は大いにありそうです。全国的にライドシェアが導入されるかどうかの試金石となるかもしれませんね。

日本の文化や国民性において「ライドシェア」が受け入れられるのかどうか、まだ何とも言えませんが、安全性やドライバーの質が求められる事は間違いありません。一般のドライバーの質やスキルも重要ですが、自動運転等の車そのものの機能も影響してくる可能性がありますね。

都会や観光地でもタクシー不足は問題になっていますが、過疎地においてはタクシーのみではなく交通インフラそのものが不足しています。そういった交通インフラの問題を打開する為にも「ライドシェア」解禁を切望する声も上がっています。実現するには問題が山積していますが、たとえ誰もが納得する形ではなくても、個人が移動する際の選択肢の一つとして「ライドシェア」を取り入れるのも一つだとは思います。今後の議論の推移にも注目しておきたいですね。それでは、また。

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