食品廃棄物をビジネス化?身近なフードロス対策

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食品廃棄物をビジネス化?身近なフードロス対策

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published : 2020/12/27

世界的な課題となっているフードロス。啓蒙活動も大切ですが、身近に取り入れられるフードロス対策をご紹介します。食品廃棄物をビジネスに転換する動きも高まっています。事業者・消費者双方の歩み寄りでフードロス削減を目指しましょう。


食品廃棄物をビジネス化?身近なフードロス対策

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こんにちは、work and placeです。

2020年も残り僅かとなってきました。年末年始はご馳走三昧という方も多いかもしれませんが、敢えて今回のテーマはフードロスについてです。  

フードロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。消費者庁の資料によると、日本で出される食品廃棄物は何と年間2,550万トンにも及びます。その中で、まだ食べられるにも関わらず廃棄となっている「フードロス」は612万トン。(数値はいずれも農林水産省及び環境省の平成29年度推計によるものです。)これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当します。また、国民一人当たりに換算すると"お茶腕約1杯分(約132g)の食べ物"が毎日捨てられている計算になります。(消費者庁HPより引用)

日本は残念ながら非常に食料自給率が低い国です。大量に食料を輸入しておきながら、まだ食べられる食品を大量に捨てている事になります。世界の9人に1人は栄養不足と言われており、人口増加に伴う食糧危機も叫ばれている中、この大量廃棄は未来の為にも間違いなく減らすべき問題です。


MOTTAINAIという世界共通語

日本で古くからある「もったいない」という言葉は「MOTTAINAI」として世界共通語となっています。環境分野において初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが「もったいない」という日本語の美しさに感銘を受け、環境を守る言葉の一つとして「MOTTAINAI」を提唱した事がきっかけです。 「MOTTAINAI」という世界共通語の発祥の地である日本において、これだけのフードロスが生じているのはとても残念な事です。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも大量生産・大量消費の感覚自体が時代遅れだと言えます。

現在、フードロスを減らす為に色々な活動が行われています。食育など啓蒙活動も非常に大切ではありますが、経済活動との関連もあり、即効性はあまり期待できません。そもそも個人の意識だけで大幅に減少させる事は難しい問題です。個人消費きっかけの廃棄のみではない事からも、事業者・消費者双方の努力が必要と考えられます。

フードロスの増加は、消費者の過度な鮮度志向も少なからず影響していると考えられています。日本では食中毒防止などの観点からも、他国に比べて消費期限設定の基準が特に厳しいです。食品衛生法の縛りだけではなく、商慣習的なルールも存在します。更に2020年は新型コロナウィルスの影響で、飲食店が休業に追い込まれ、学校休校により給食が無くなった事で行き場を失った食材が多く発生し、フードロスに拍車をかける事になりました。

フードロスの問題は国際社会共通の問題です。例えばヨーロッパでは、廃棄処分対象になった食品専門のスーパーや、廃棄予定食材を活用したレストランがあるそうです。食品廃棄物をビジネスに転換する動きが高まっています。これは是非日本でも参考にしたい事例です。

勿論、日本でも色々な企業がフードロスを減らす取り組みを始めています。身近な例を挙げると、コンビニのセブンイレブンでは全国の店舗においてフードロス削減目的「エシカルプロジェクト」を開始しました。おにぎりやパン等の特定の食品で、販売期限が近づいた対象商品を購入した場合に、店頭税抜価格の 5%分の 自社の ボーナスポイントを付与すると言うものです。これによって販売期限が近づいたものからの購入を促し、食品廃棄物の発生を抑制する取り組みです。フードロスを無くしたい事業者と、少しでもお得に買いたい消費者のニーズが一致するケースと言えますね。

そのほかにも廃棄前の食品や、規格外の食品をECサイトで販売している所も増えています。大手のAmazonや楽天でもアウトレット品や規格外の商品を割安で販売していますし、生産者と消費者を繋ぐサイトも増えています。参考までに3つご紹介しますが、皆様も是非色々と検索してみて下さいね。

フードロス削減にITをうまく活用している良い例ですね。また、商慣習的なルールについても期限に合理的根拠が無い事や、少しでも無駄を減らす為にと見直しが検討されつつあります。日本は生食を好む食文化を持ちますし、生鮮食品への安全性は当然担保されるべきです。その安全性を前提としても、改善可能な余地は大いにあります。安全性を守りつつ、法整備と事業者側の商慣習的ルールの改善を併せて行く事、そして個人の意識を高める事が必要です。双方向からの歩み寄りで、少しでもフードロスを減らしていきたいですね。


さて、暮れも押し迫って参りましたが、皆様にとって2020年はどの様な一年でしたでしょうか。今年はコロナ禍に翻弄された一年で、ビジネス分野でも困難が多かったかと思います。2021年も期待に満ち溢れたと言うよりは、まだまだ不安を抱えたスタートになるかもしれません。それでも世界にとって少しでも明るい兆しが見える事を期待したいです。皆様にとって素晴らしい年になるよう、心からお祈り申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。2021年も宜しくお願い致します。

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