名優アンソニー・ホプキンスの最高傑作!かつてない映像体験を是非

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名優アンソニー・ホプキンスの最高傑作!かつてない映像体験を是非

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published : 2021/6/14

名優アンソニー・ホプキンス主演の映画「ファーザー」を鑑賞しました。アカデミー賞二部門受賞も頷ける珠玉の作品です。かつてない映像体験を是非!


名優アンソニー・ホプキンスの最高傑作!かつてない映像体験を是非

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こんにちは、work and placeです。皆さまは最近映画をご覧になりましたか?映画館に対して休業要請が出たエリアもありますし、自宅で映像配信を利用する機会が増え、以前よりも映画館で映画を観る機会が減った方も多いかもしれませんね。私自身もその傾向が強かったのですが、先日久しぶりに映画館で映画を観ました。

名優アンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー(The Father)」です。本年度のアカデミー賞において主演男優賞・脚色賞の2部門を受賞した話題の作品で、日本を含め世界30ヶ国以上で上演された舞台「Le Pere 父」を映画化したものです。認知症の父親役を演じたアンソニー・ホプキンスは「羊たちの沈黙」以来、2度目のアカデミー主演男優賞を受賞しました。「老いによる喪失と親子の揺れる絆」がテーマとなっており、認知症の主人公目線で物語は進んでいきます。(ネタバレになるといけませんので、具体的なエピソード等は勿論控えます。)

鑑賞して、とにかく圧倒されました。何と言っても構成が緻密です。認知症の主人公の視点で記憶や時間が混迷していく様を描いているのですが、映画鑑賞と言うよりも疑似体験に近いと感じました。そしてその体験は、まるでホラーかのような不安や混沌そのものでした。主人公目線ではあらゆる境界線が曖昧になり、観ている自分も一緒に混乱していきます。実際の撮影時も、今撮っている部分の構成を本当に理解できているのは監督だけ、という状態が多かったという話を聞きましたがそれも大いに納得です。観ている内に混乱が恐怖に変わっていくのを感じました。

アンソニー・ホプキンス史上最高の演技である事は間違いありませんが、娘役を演じたオリヴィア・コールマンの演技も圧巻でしたし、映像の美しさも特筆すべき点です。演技も構成も演出も映像も全てが素晴らしい作品だと思います。

ここで映画.comのレビューをいくつか抜粋したいと思います。

  • 本作は、老いの話ではあるが、それ以上に人間の知覚と記憶という、極めて不確かで個人的なものを洞察する物語だ。人の知覚レベルでは、絶対に正しいことも、絶対に確かなものもない。
  • 面白い、としか言いようがない。老いや記憶をめぐる映画は数多く存在するが、この緻密さ、大胆さにはゾクゾクさせられる。英国映画界の大御所が織りなす本作を私なりに形容するなら、それは老後社会や介護問題を扱った作品という以上に、完璧なまでに彩られた「密室心理サスペンス」。
  • 認知症を患った主人公または主要人物を描く映画は珍しくないが、当人の意識の状態をどう表現するかという点において、本作は実に画期的で巧妙だ。本作で監督デビューを果たしたフロリアン・ゼレールは、認知症患者の内なる混乱と不安を観客に体験させる狙いで視覚的なギミックを駆使した。
  • アンソニー・ホプキンスとオリビア・コールマンの名演は言うまでもないが、真に迫るがゆえに、老いと死を避けられない哀しみが一層深く胸に突き刺さる。

認知症や老いといった、重いテーマではありますが、非常に素晴らしい作品です。「誰もがいつか通るかもしれない道」という通り一辺倒のものではありません。ヒューマンドラマであり、心理サスペンスでもある。かつてない映像体験がそこにはあります。

主演のアンソニー・ホプキンスはこの映画のインタビューで「認知症と死について」についてこう答えています。『この役を通して多くの学びと気づきを得ました。自分自身の人生の終わりを意識するようになり、命が美しいものに思えてきました。自分の”葉”を1枚ずつ失うのはどんな気分だろうか。人生の勉強になりましたよ。』

私は映画を鑑賞後にこのインタビューを読んで、更に圧倒されました。是非鑑賞後に改めてインタビューをご覧になる事をお勧めします。「ファーザー」本当に素晴らしい作品でした。


久々の映画鑑賞で「映画館で映画を観る事ができる幸福感」を再認識する事ができました。以前までの普通が、贅沢な体験に変わってしまったのは寂しい気もしますね。各映画館も感染防止対策に力を入れており、衛生環境は勿論ですが、ソーシャルディスタンスを保てる座席配置等、安心して映画を鑑賞できる環境作りがされていると感じました。また近々映画鑑賞したいと思います。

6月1日より映画館への制限緩和で東京都内・大阪府内の映画館の多くが営業再開したようです。皆さまも是非映画館に足を運んでみませんか?それでは、また。

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