牡蠣がもたらす美しい水。世界のインフラ整備にも期待!

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牡蠣がもたらす美しい水。世界のインフラ整備にも期待!

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published : 2021/7/29

世界の水の問題に「牡蠣」が活躍?!食べるだけじゃない牡蠣の魅力をご紹介します。


牡蠣がもたらす美しい水。世界のインフラ整備にも期待!

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こんにちは、work and placeです。

今日は牡蠣についてのお話です。といってもグルメな話題ではなく、牡蠣の浄水機能についてのお話です。牡蠣を始めとする二枚貝は、海水に含まれる有機物を食べ、海水をろ過する働きがあります。その二枚貝の中でも特に牡蠣は海水をろ過する力が高いと言われています。牡蠣の殻は形状が複雑で幾重もの層状になっている為、表面積が大きく微生物が生息しやすいんだそうです。一個の牡蠣で一日あたり約400リットルもの海水をろ過するとも言われています。水産庁の資料によると、広島湾の海水を約5日でろ過する計算になるとのこと!

牡蠣は天然の浄水器と言われ、アメリカ・ニューヨーク港の浄化計画でも活用されています。2014年から始まったプロジェクトで、ニューヨーク港周辺の海で牡蠣礁の再生に取り組んでいます。約20年をかけてニューヨーク湾全体に10億個の牡蠣を放す計画なんだそうです。

生体の牡蠣は勿論ですが、牡蠣殻自体にも浄水の機能があります。牡蠣殻には微生物が生息しやすく、その微生物が汚水を分解します。更にpH調整機能も高いと言われています。水の汚れを吸着しやすい炭酸カルシウムが主成分である事もポイントです。


この牡蠣殻を使ったバイオトイレをご存知ですか?色々な種類のバイオトイレが存在しますが、今回ご紹介したいのは牡蠣と言えばの広島県にある永和国土環境株式会社「アクアメイク」です。簡単に言うと、牡蠣殻を沈めた浄化槽に汚水を通し、ポンプで循環させる仕組みです。更に活性炭や塩素を併用する事で大腸菌も除去してくれるんだそうです。大きなポイントはこちらです。

  • 循環排水再利用で汚水を排出しない

  • 水道・水源が不要

  • 下水工事が不要

  • 環境保全に役立つ

  • 大規模な工事は不要。最短約2時間で設置可能。

比較的トイレ事情が良い日本でも、特殊な環境においてはトイレや下水の問題に悩まされてきました。例えば山です。2013年ユネスコ世界文化遺産に登録された富士山ですが、実は登録までに20年以上かかりました。その理由の一つがトイレ問題だったと言われています。現在はほぼ全てが環境配慮型のバイオトイレに変わっているそうです。(牡蠣殻だけではなくオガクズ・木質チップ等を用いたものや焼却型も含め「アクアメイク」以外にも複数種導入。)バイオトイレ導入による、環境改善が世界文化遺産登録の後押しになったという声もあります。


水道の蛇口を捻ればすぐに綺麗な水が出る日本ではあまりピンとこないかもしれませんが、世界的に見ると「水の供給」は大変深刻な問題です。水不足は現在進行形であり、将来的にも大きな懸念となっていますし、綺麗な水を使えない状況の人々が世界中に多く存在します。SDGsでも「安全な水とトイレを世界中に」を目標の一つとしています。

この世界的な水問題にも牡蠣が一役買っています。例えば、下水の普及率が約2.5%と低水準のスリランカにおいて、アクアメイク設置の実証実験が行われました。JICAの中小企業海外展開支援事業の一環です。現在設置工事自体は殆ど完了しているそうですが、コロナ禍の影響で残念ながら完成検査は中断しているそうです。一日も早い実用化を期待したいですね。アクアメイクの技術は国際特許を取得しています。コロナ禍においては困難もあるでしょうが、インフラ整備されていない地域の環境改善に役立つのは間違いなさそうです。

水質改善やバイオトイレにも活用されている牡蠣。最近は水槽浄化の為、自宅用として購入する人も多いそうです。何と100均での取り扱いまであるんだそうです!これには驚きました。美味しく食べて殻は捨ててしまうのではなく、その殻も活用できるのは素晴らしい事ですね。水の問題は一朝一夕に解決するものではありませんが、牡蠣のパワーには大いに期待したいと思います。

それでは、また!

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