尾州毛織物の伝統文化を上質に纏う尾州ロリィタとは?

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尾州毛織物の伝統文化を上質に纏う尾州ロリィタとは?

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published : 2021/9/14

異彩を放つストリートファッションから新しいスタイルが誕生しました。尾州毛織物の伝統と日本のカワイイ文化「ロリィタファッション」の融合「尾州ロリィタ」=「びしゅろり」をご紹介します。


尾州毛織物の伝統文化を上質に纏う尾州ロリィタとは?

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こんにちは、work and placeです。

今回ご紹介したいのは、少し珍しいコラボです。「ロリィタ・ファッション」というファッションカテゴリをご存知でしょうか?メイド服のようなフリフリのお嬢様ファッションを想像する方が多いかもしれません。「大人の少女服」と称される事も多いですね。

1990年代以降に流行し始め、2000年代に急増したと言われています。バロック・ロココ・ヴィクトリアンといった欧米のファッションの歴史に懐古的な要素と、憧れのお姫様の物語のイメージが混在しています。リアルとフィクションのミックスで日本独自の自由なスタイルが確立されたようです。2004年に深田恭子さん主演の映画『下妻物語』が公開された事で認知度が大きく上がったと言われていますね。

女性のファッションは兎角男性からの評価の影響を受けがちだと言われています。「モテ服」なんて言葉もある位です。その点ロリィタ・ファッションは異性や周りの評価は気にせず、自分の好きな服を着る傾向が強いように思います。とはいえ、華美で独特のデザインは見た目のインパクトも強く、好奇の目で見られてしまう事もあるんだとか。そんな中、素晴らしいコラボが誕生しましたのでご紹介させてください。

愛知県一宮市にあるLOCOCO(甘ロリ系ロリィタ体験サロン)オーナーのショコラさんが『尾州毛織物とロリィタファッション』を広げる為のプロジェクト”尾州ロリィタ”を立ち上げられました。

愛知県尾張地方の伝統的な毛織物「尾州生地」と、日本のカワイイ文化の究極の形とも言える「ロリィタ・ファッション」を組み合わせた全く新しいスタイルの『尾州ロリィタ=びしゅろり』が誕生したのです。一風変わったコラボの様に感じますが、新しい文化と伝統工芸が組み合わさる事には大きな可能性が秘められていると思います。

尾州生地とは尾州地域で生産された毛織物の事です。毛織物の国内生産量の約8割が尾州で生産されているんだそうです。糸から織物になるまでの数多くの工程を地元で協力しあう、昔ながらの地場産業です。有名ブランドのスーツにも使用される上質な生地は何と90年も前のションヘル機を使用し、手織りに近い製法で作られています。元々は1000軒以上あった工場は現在100軒ほどだそうです。素晴らしい上質の生地、そして技術でありながらも、残念ながら衰退しつつあるのが現状です。

そこで一念発起したショコラさんは『地元の職人さんに尾州生地もこんなに可愛くなるというところを見せたい。』『紳士物のスーツ生地を長年作製してきた方に、尾州生地がフリルとレースとリボンが合わさった女性物の可愛い洋服になるんですということを伝えられれば!』と思い『尾州ロリィタ』の立ち上げを思いついたんだそうです。

繊維工場を一軒一軒周り、生地提供をお願いしたそうです。スーツ生地だから可愛い服には合わない・ウールではスカートを入れても広がらないんじゃないか?暗めの色味が多いから若い子は着ないんじゃないか等の理由で断られるケースが何度もあったそうです。

しかしショコラさんは諦めませんでした。断られた理由の一つ一つが、寧ろ「普段から着られるロリィタ服」を作る為のメリットだと気付いたのです。

(実際に工場に足を運び説明を受けるショコラさん)

主に紳士用のスーツ用の生地でしたが、比較的華美で着ていく場所に多少憚りのあったロリィタファッションを上質な尾州生地で製作する事できちんと感が出て、どこにでも着ていく事ができます。尾州ウールは夏は涼しく冬は暖かいですし、汚れがつきにくくて防臭効果も高いです。懸念されていた暗い色味も、落ち着いた色味へのニーズに応えるものとなりました。

昔ながらの尾州生地とのコラボが、着たくても中々着れない存在だったロリィタファッションのハードルを下げました。今まで憧れはあったけれど中々踏み出せなかった人や、いつでも気軽に楽しめるロリィタファッションをお探しの方にもピッタリですね。カラフルでボリューム感のある華美なものも勿論素敵ですが、TPOに応じて使い分けるのも良いと思います。

実際商品画像を拝見していると、「びしゅろり」はとても可愛くて上品です。小公女セーラのような印象を受けました。商品のタイトルにあった「ずっと、お姫様にしてくれる特別な日常のワンピース」というフレーズが世界観を如実に物語っていますね。キッズサイズの対応もあるようですので、お子様の入学式や卒業式等のセレモニースタイルにも良いかもしれません。

(モデル:深澤 翠さん)

可愛らしさ・上品さの追求が伝統文化を守る事にも繋がっているのが素晴らしいと思います。多様性が謳われる現代にこそピッタリのプロジェクトだと思います。もはや「ロリィタ・ファッション」は異彩を放つストリートファッションではなく、文化の一つと言えそうです。

同じく尾州のカレントという団体による別のプロジェクトでは、織機のションヘルを、ストリートピアノならぬストリートションヘルとして一宮駅に展示しようと動いているそうです。そして『びしゅろり』でも、違うプロジェクトが進んでいるんだそうです。そちらも本当に楽しみです。尾州からしばらく目が離せませんね!それでは、また。

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