業界慣習の真逆!西松屋のユニーク過ぎる戦略とは?

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業界慣習の真逆!西松屋のユニーク過ぎる戦略とは?

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published : 2021/10/12

ベビー・子供服専門店の「西松屋」は単なるアパレルメーカーではない?!業界慣習とは真逆の究極の簡素化で実現させた26期連続増収の秘密をご紹介します。


業界慣習の真逆!西松屋のユニーク過ぎる戦略とは?

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こんにちは、work and placeです。

お手頃価格の子供服が人気の「西松屋」を私はずっと「アパレルメーカー」だと認識していました。実際、ベビー・子供服や服飾小物を中心として展開している専門店である事は間違いありません。しかし当事者の認識は少し違うようです。今日はそれに纏わるお話です。

「西松屋」は比較的ゆったりとした広めの店舗が多いです。ところがそれに対してスタッフの人数が少ない事に驚きます。更にお客様も少ないような?少ないと言うよりも、失礼ながらガラガラの印象です。しかし、売上高を見てみると、何と26期連続で増収を続けているのです!2021年2月期本決算においては売上高・営業利益共に過去最高の数字を叩き出したそうです。

極端な言い方をすると「常に閑古鳥が鳴いている様子なのに儲かっている!」のです。これには明確な理由があります。とにかく無駄を省き、独自の効率化に成功しています。「無駄を省く」という事は一見当たり前の事のように思えますが、今までのアパレル業界の当たり前とはかなり異なる手法を取っています。

まず、売り上げよりも効率を重視しています。例えば「店内ガラガラ」は戦略的なものだと言うのです。混雑しにくく、行列ができにくい店作りを基本にしています。店舗の立地は一等地ではなく、脇道沿いなどの所謂二等立地、もしくは郊外中心です。混雑しにくい場所で且つ、賃料が安く済みます。

そして徹底的にオペレーションの無駄を省き、何と1店舗を基本2名体制で運営できるようにしているそうです!300坪規模の大型店ですら3~4名でまわせるのだとか。そして、アパレルショップと言えばお馴染みの「おたたみ業務」、この業務は時間を取られる上にエンドレスです。「西松屋」ではこの業務を簡略化する為、衣類をたたんでディスプレイせずにハンガーに吊るすスタイルを取っています。

これはスタッフの作業簡素化と同時にお客様にとってもメリットがあります。デザインやサイズの確認、複数の商品比較がハンガーに吊るされている状態であれば容易にできます。また高い位置の商品を取る場合も「商品取り棒」という長いフックの様な棒が設置されている為、いちいちスタッフを呼ばずに済みます。ほぼ接客を受ける事なく、最短でお買い物を済ませる事が可能なのです。

更に、アパレルショップで良く見かけるマネキンやワゴンも見当たりません。そもそも購買意欲をあおるような売り方を避けているそうです。ディスプレイで目を引く必要が無いので、手間のかかるPOP製作やコーディネイト提案等アレンジの手間も省けます。商品自体も個性的なデザインではなく、シンプルで飽きの来ないデザインを心がけているそうです。


ここで最初に書いた認識の話に戻ります。「西松屋」はアパレルメーカーとしてではなく、子育て世代や子供達を支える「社会インフラ」であるという意識の元に運営しているそうです。現場は売上至上主義ではなく、日々のオペレーション遂行率を重視しています。お客様が必要としない限り、過剰な接客もしませんし、設備も最小限となっています。PDCAを回す事を優先させており、それが最高の形で実現しているのです。実際、アパレル業界の慣習を思いきり無視していると言うのに、衣料品専門店分野における顧客満足度で何度も1位に輝いています。

近年ではファストファッションの大量生産大量消費のあおりが環境問題にまで発展しています。その一方で無駄を省き、ただ安価なものを大量に供給するのではなく、社会インフラを支えている矜持の元で活動している「西松屋」のスタイルは、社会の在り方へのヒントを与えてくれているようにも思えます。独自の効率化を進めながらも増収し続けている「西松屋」の今後にも注視したいと思います。それでは、また。

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