文章を書かないといけない人へ。アウトプットの質を向上させる「思考の整理学」
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published : 2020/9/27

文章を書くのが苦手な方にもお勧めの「思考の整理学」。料理と同じ様に前準備をきちんと行っておくことで書くことが簡単&楽しくなります。今年にご逝去された外山滋比古先生のベストセラーから、文章を書く時に役に立つベーシックな技術をご紹介します。
文章を書かないといけない人へ。アウトプットの質を向上させる「思考の整理学」
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こんにちは、work and place です。
英文学者であり、言語学者・評論家としても高名な外山滋比古先生が今年の7月30日に96歳でご逝去されました。数多い著書の中でも「思考の整理学」は言うまでもない超ロングセラーです。
「思考の整理学」
外山先生は専門である英文学のみならず、言語学、修辞学、教育論、ジャーナリズム論、広範な分野を研究し、多数の評論を発表されました。「思考の整理学」は1983年の著作でありながら、2000年代に入っても東大生・京大生に読まれる本として話題になりましたし、私もそれで本書を知りました。ざっくり言うと30年間で200万部以上売れた本です!学生時代に読まれたという方も多いかもしれませんね。
中には、タイトルから所謂How to本と勘違いされて、読んで落胆と言う声も聞きます。本書はHow to本でもなければビジネス書でもありません。学術エッセイという言い方が一番近いと思います。
「エッセイ読む暇があるならビジネス書を読みたい!」
そのお気持ちはわかりますが、イマドキの読みやすいビジネス書を読み漁っても得られない思考の本質に向き合うのも悪くないと思います。寧ろ真剣にビジネスに向き合って考え過ぎ、疲弊した頭にこそおススメかもしれません。平易ではありますが、古い書籍でもありますのでリラックスして斜め読みすると言うよりは、頭のストレッチをするつもりで臨んでみてください。最近の読みやすさを追求した書籍とは違いますので、最初は読みにくいと感じられるかもしれません。ただ決して難解ではありませんし、一読の価値有りです。そしてその後に最新のビジネス書を読むと、また違った捉え方ができるかもしれません。
文章を書く前に本書を読んでみる
古い本だと侮る事なかれ!今回、故人を偲んで追悼特集というわけではなく、読む事でガチでヒントを掴みにいっていただきたいと思います。どんなジャンルにせよ「働く」「学ぶ」という事に向き合う時に読んでおくと良い本ですが、今回は敢えて「文章を書く時」にフォーカスしてみたいと思います。既に物書きをされている方には今更感があるかもしれませんが、「書く」という事がわからなくなった時、間違いなくここにヒントがあります。
論文やレポートの提出が必要なのに一向に筆が進まない、どこから手を付けて良いかわからないなんて時はありませんか?「書かないといけないのに書けない!書きたくない!」という方は必読!!そして、以前はスラスラ書けていたのに、急に書けなくなったというお悩みの方にもおススメです。
勿論、一冊丸々読んでこその価値ではありますが、特に第三章・第四章には「書く事」へのヒントが散りばめられています。第三章におけるカードやノートを利用した手法については、現代においてはそのままパソコンやスマホのメモ機能に置き換えて考える事が自然でしょう。ただし、ツールの捉え方の違いはあれど根本の考え方は現代にも通用します。わかりやすい章立ての構成になっていますので、全体を通して読んだ後に、刺さる部分を更に読み込むのも良いかもしれません。
何しろ40年近く前に書かれたものですので、現在のパソコンやスマホの普及やAIの台頭を前提にはしていません。それでいて「コンピューターに人の仕事が奪われる」可能性に言及していたり、令和の時代を予測したかのような記述もあります。思考の整理が大切な事は今も昔も変わりはありません。寧ろ、情報過多である現代の方が頭の中にあるものを言語化する難しさがあるように思います。それでも書く前の準備が出来ていると、その言語化が格段にスムーズになります
第四章の「とにかく書いてみる」の中に出てくる『書く作業は、立体的な考えを線状のことばの上にのせることである。』という一文が私には刺さりました。普段から文章を書く時にふんわり意識していた事が明確に言語化されていると感じたからです。
ここでAmazonのレビューも紹介しておきます。
論文やノートの取り方に悩む学生さん。あるいは何かしらの形で学び、話す機会のある誰かにオススメ。
「見つめる鍋は煮えない」、「いかに忘れるか」等、目から鱗の話が満載で、自分の感性や価値観に基づく独自の考えを纏めていくアプローチの解説は、大変参考になりました。
この著書は、もう今から30年以上前に書かれたものですが、それを感じさせないくらい現代に突き刺さる。特にこれからの時代は、より人間らしく、知的創造を生かしていかなければならない。それを30年前から唱えていた著者の鋭さは、さすがだと思いました。
そこらへんの浅いAI論よりも何倍も深い、AIの時代を語る人はこの本を読んで読んで自らの思考を整理すべきだ。
本書は決して「文章の書き方」そのものが書いてあるわけではありません。文章を書く時に必要な思考の整理や概念について書かれているので、結果として書きやすくなるとお考え下さい。自分だけの思考の体系を作り上げる事は決して容易ではありません。ましてそれを言語化するのは尚更難しい事だと思います。書く技術だけ得て書こうとするのではなく、思考を整理して書けるだけの材料を揃える事が大切です。「思考の整理学」はその必要性を教えてくれる貴重な一冊です。アウトプットの質を向上させる為、是非この機会にご一読ください。
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