戻ってきたインバウンド客が今求めるコト消費とは?

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戻ってきたインバウンド客が今求めるコト消費とは?

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published : 2023/8/27

コロナ禍で激減した訪日外国人が徐々に増えつつあります。以前見られた「爆買い」は鳴りを潜め、体験型のコト消費が人気になっています。モノ消費からコト消費へのニーズの変化に注目したいと思います。


戻ってきたインバウンド客が今求めるコト消費とは?

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こんにちは、work and placeです。コロナ禍で急激に落ち込んだインバウンド消費が少しずつ回復してきています。8月10日には中国人団体旅行が数年振りに解禁されました。日本の観光業界は勿論の事、小売業等でもインバウンド消費が大きく回復する事を期待しているでしょう。とは言うものの、コロナ禍以前と同様にとはいかないようです。歴史的な円安は間違いなく追い風になってはいますが、期待の中国景気は減速しています。団体客数は徐々に戻りつつあるものの、以前あったような高額品の「爆買い」の光景は戻ってきていません。ドラッグストア等での消費は戻ってきていますが、中国人に限らず、訪日外国人の消費行動そのものが変化しているという見解を唱える有識者も多いです。

明らかに「モノ消費からコト消費」にニーズが移行しているようです。といっても「物欲よりも心の充足を優先したい!」という単純なものでもないようです。実際のところ、買い物も目的の1つではありますが、体験型のコト消費を求める傾向が高くなっていて、インバウンド客を迎える旅行会社も、文化体験ができるツアーを多く組んでいます。

日本の文化である茶道や華道、伝統工芸品の製作、お寺での修行体験等は昔から人気でした。元々は簡易な体験のものが多かったですが、最近は宿泊を伴ったり、着物を着て体験したりなど本格的なものが増えているそうです。

例えば京都で着付けやヘアセット付のレンタル着物ショップが人気です。着ていた私服や荷物を預かってもらえますし、手ぶらで本格的な着物を着る事ができます。着物を着た後はそのまま散策ができますので、より日本を感じる観光体験ができますね。着物姿での京都散策中に記念撮影すれば、より良い思い出になりますね。

旅行に限った事ではないですが、SNS発信が行動原理の1つになっている人は多いです。旅先での体験を発信し、それに触発された人がまたその体験を求める流れもできています。

東京・浅草や富士山、京都嵐山、北海道の富良野などの定番の観光地の人気もさることながら、これぞ現代のコト消費の特徴とも言えるのが「聖地巡礼」です。Cool Japanの急先鋒とも言えるアニメや、アイドル達に纏わる「聖地」を訪れて追体験をする事が人気となっています。

最近話題になっているのが不動の人気バスケットボール漫画であり、昨年末に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』が爆発的にヒットした「スラムダンク」の聖地として、神奈川県鎌倉市の江ノ島電鉄の踏切に観光客が殺到しています。

また、マンガ飯と言われる漫画やアニメに登場するグルメを実際に食べたり、そのシーンを再現する形で写真や動画を撮るのも現代らしいコト消費の1つなのかもしれませんね。

上記のコト消費に関しては、インバウンド客のみならず、日本人の国内観光客にも大変人気となってます。東京観光の定番である「はとバスツアー」でも分刻みで沢山の観光地を回るものよりも、体験型を組み合わせる事で、一つの場所をじっくり楽しむツアーを増やしたんだとか。

そして今年の過酷な猛暑対策として、日が沈んでから都内を回るナイトツアーも人気なんだそうです。観光客のニーズや気候などに合わせた柔軟なツアー組みが重要ですね。


モノ消費からコト消費にニーズが移行したといっても、買い物のニーズが一切無くなったわけではありません。モノ消費の傾向も体験型に変わってきたという事だと思います。例えば高額な化粧品の中で一番人気のものをとにかく大量に買い占めるという消費行動から、きちんとカウンセリングを受けて自分に合った必要なものを選んで買う事にシフトしているようです。決まり切ったものを購入するだけではなく、商品を選ぶ体験そのものも楽しみの1つになっているという事なのかもしれません。

観光客向けの体験型メニューは以前からありましたが、より没入感や当事者感の出るものが人気となています。俯瞰で観る観光ではなく、旅行者自身がパフォーマーの一人となる事が求められているのかもしれませんね。以前のコト消費で注目されていた「非日常感」だけではなく、「没入感」も重視されているのかもしれませんね。

オーバーツーリズムの問題もありますが、観光産業の復活は日本経済にとって重要なのは言うまでもありません。変わりゆくニーズに合わせて、提供するサービスもどんどん進化させていく事がカギになりそうです。今後のコト消費の動向にも注目しておきたいと思います。それでは、また。

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